東京藝術大学声楽科の受験の際に、最初の壁となる「一次試験」の課題曲について、提出曲についてと、実際に試験で歌う曲はどのように絞られるのか、捨て曲とは何か、実際は何曲準備すればいいかをこちらでは説明しています。
一次試験の提出曲
東京藝術大学音楽学部声楽科の選抜試験の一次試験は課題曲審査です。
課題曲は、毎年9月頃に藝大ホームページにて、翌年受験者の課題曲が発表されます。
日本歌曲15曲、外国語歌曲(イタリア15曲、ドイツ10曲、フランス10曲)のなかからそれぞれ4曲ずつ選び、出願時に大学側へ提出します。
例えば…こんな感じです!
作曲者名 | 曲名 | 調名 | ||
a | 團 伊玖磨 | ひぐらし「わがうた」より | Asdur | 1 |
b | 成田 為三 | 浜辺の歌 | Adur | 2 |
c | 滝 廉太郎 | 荒城の月 | dmoll | 3 |
d | 信時 潔 | 北秋の「沙羅」より | Esdur | 4 |
作曲者名 | 曲名 | 調名 | ||
e | Scarlatti, G. | Sento nel core | gmoll | 5 |
f | Donaudy, S. | Vaghissima sembianza | Adur | 6 |
g | Caccini, G. | Amarilli | amoll | 7 |
h | Rosa, S. | Star vicino | Bdur | 8 |
上の表のように、a~dが日本歌曲、e~hが外国語歌曲となっています。
※あくまでも、これは一例です。試験時に課題曲に含まれていない曲もありますので、公式ホームページの受験年度の課題曲をしっかりチェックして、自分の先生と相談したうえで選択して下さいね!
一次試験で8曲も準備しなきゃいけないの?
試験では歌詞を見て歌えないわけだし、けっこう大変だね~
課題曲はどのようにしぼられるの?
一次試験の当日に、日本歌曲のa~dの4曲のうち2曲、外国語歌曲e~hの4曲のうち2曲が、大学側から指定されます。
さっきの例で行くと…
作曲者名 | 曲名 | 調名 | ||
a | 團 伊玖磨 | ひぐらし「わがうた」より | Asdur | 1 |
b | 成田 為三 | 浜辺の歌 | Adur | 2 |
c | 滝 廉太郎 | 荒城の月 | dmoll | 3 |
d | 信時 潔 | 北秋の「沙羅」より | Esdur | 4 |
作曲者名 | 曲名 | 調名 | ||
e | Scarlatti, G. | Sento nel core | gmoll | 5 |
f | Donaudy, S. | Vaghissima sembianza | Adur | 6 |
g | Caccini, G. | Amarilli | amoll | 7 |
h | Rosa, S. | Star vicino | Bdur | 8 |
赤マーカーのついた、日本歌曲のbとc、外国語歌曲のeとfが大学側から指定されて、8曲から4曲に絞られたね!
大学側から指定された日本歌曲2曲と外国語歌曲2曲のうち、それぞれ1曲ずつを歌う当日に自分で選びます。
つまり、最終的に歌う曲は日本語歌曲1曲、外国語歌曲1曲となります。
この2曲を4分以内で歌いますが、曲によっては少し長い曲もあります。
その場合は、時間になるとベルが鳴り、その曲は終わりとなります。
大学側から、完全に「これ!」と曲を指定されるわけではなく、最後の選択は自分でできる!
捨て曲について
では、捨て曲って何なんだ?という話です。
大学側から4曲中2曲に絞られて、
その後、自分自身の選択で歌う曲を1曲決める。×2(日本歌曲と外国語歌曲、それぞれ1曲ずつ)
ということは…
最後は自分で選べるので、4曲中1曲は、絶対に歌わなくてもいい曲というのをつくることができます。
それが、捨て曲(=試験では歌わない曲)です!
仮に4曲中、全く歌えない曲を1曲入れていたとして、
試験当日に、その全く歌えない曲を大学側に指定されても、歌える方の曲を選べばいいんだね!
実質、藝大の一次試験の課題曲は6曲でいい?
試験当日に、大学側から捨て曲を指定されても、もう1曲を歌えばいいので、全く歌ったことのない曲を捨て曲にしても、最悪、問題はありません。
つまり、このようになります。
- 日本歌曲4曲 ー 捨て曲1曲 = 日本歌曲3曲
- 外国語歌曲4曲 — 捨て曲1曲 = 外国語歌曲3曲
このように3曲ずつ、計6曲準備しておけば大丈夫でしょう。
実際、わたし、すずめが受験する際には、社会人であったこともあり練習時間がうまく作れないことが多かったです。そこで、一曲にかける練習時間を確保するため、自分の歌の先生と相談して、課題曲については6曲だけ練習して、曲の完成度を上げる!ということをしていました。
しかしながら、試験というものは何が起こるかわかりません。
自分のミスで、捨て曲を選んでしまうことも、無きにしも非ず(ないのがいいですが…)。
ということで、わたし、すずめがお勧めする捨て曲の正しい設定の仕方がこちら。
捨て曲の正しい設定の仕方
先に結論を言ってしまうと…
捨て曲は、直前まで選ばず、時間の許す限り8曲用意しましょう!
課題曲を提出するくらいの時期までは、提出する8曲全部をまんべんなく練習しておくことをお勧めします。
まんべんなく練習していても、それぞれの完成度のばらつきは出てきますし、試験の直前で苦手だったフレーズがうまく歌えるようになることもありますし、なんだかこの曲気分がのらない…なんてこともあるわけです。
そんな時に、一番よく歌える曲で勝負できる選択肢が増えるからです。
8曲練習しておいたら、その日の調子で選べる選択肢が増えるんだね!
でも、無理して8曲用意して他の対策がおろそかになるなら、6曲に絞るのも戦略だね!
いかがでしたか?
少しでも受験の参考・助けになれば嬉しいです(^▽^)/
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