初めましての楽譜を見て、審査員の前で歌う試験。それが【新曲視唱】…
・ たまに新曲視唱の練習やってはいるけれど、なかなか歌えるようにならない
・ 試験で何を最重要視して求められているのかわからない
・ 何を重視して練習すればいいか分からない
こんなふうにレッスンを受けていても、日々の練習で困っていたりする人が多い試験課題です。
音楽英才教育を受けた人でも、コツがいるこの【新曲視唱】という受験科目ですが、ここでは藝大声楽科合格レベルに到達できる、自己練習のアドバイスやコツを紹介します。
藝大三次試験の新曲視唱をパスするコツ
初めに結論から申し上げると、
…結局、止まらずに歌えってこと?
なぜ、止まらずに歌うことが大事なのか?
結論から言うと、止まらずに歌うだけで音楽として成立するからです。
そして、止まらず歌うことで分かりやすく点数をあげやすいというところがあります。
音楽は時間の芸術です。
つまり時間を無視した演奏は、音楽として成立しないのです。
例えば…音が分からなくなって、楽譜にはゆっくり演奏する記号が書かれていないのに、どんどんゆっくりになってしうと、全く違う音楽になってしまうのです。
その中でも、一番よくないのが止まってしまうことなんだね…
さらに言うと、止まってしまって、また最初から歌い始めるなんて、もってのほか…
8小節の課題を歌い始めて、4小節目で止まってしまい、もう一度歌い直した瞬間に止められるっていう可能性だってあります。そうすると、半分しか歌っていないのに、試験終了。
歌の実技試験で、ちょっとうまく決まらなかったんで、もう一回最初からお願いします!って通用しないじゃないですか?
なぜか受験生は、新曲視唱では歌いなおししてもいいと思っている人が多いようです。
まず大前提として、試験はやり直しがきかないということを肝に銘じましょう!
新曲視唱の試験対策
藝大声楽科の新曲視唱試験について
ハッキリ最初に申し上げると、声楽科に課される課題はそんなに難しくはありません。
テンポも割とゆったりしていて難しいリズムも出ませんし、臨時記号も2~3つしか付きません。
募集要項及び課題曲の38ページに掲載されているよ!チェックしてみて!!
藝大の募集要項にもはっきり書いてありますが、最終合否判定は170点中、
① 一次試験 50点
② 二次試験 100点
③ 三次試験コールユーブンゲンのみ 20点
となっています。
それ以外の試験内容は、〇△×くらいの評価しか付かないです。
つまり、新曲視唱課題も〇△×でつけられます。
そして、審査員たちも歌以外の試験で「落としてやろう…」とは思っていません!
むしろどうにかして、落ちないように歌ってくれ!と思っています。
なぜなら、歌で三次試験にまで進んでいるから!
声楽という分野は、持って生まれた体や声に大きく左右されます。
つまり、持って生まれた才能によって大きく左右される科なのです。
そして藝大は、一流の優秀な声楽家を育てたいと思っている学校です。
実技の歌で高得点を取って三次試験まで残った生徒は、もれなくみんな素養・才能があるため、審査員は実技の歌以外の部分で落としたくありません。
その指標となるのが、止まらずに歌いきれたということ。
少々間違えたとしても、止まらないで歌った人には分かりやすく点数を付けやすいのです。
試験で止まらずに歌うためにやるべきこと
毎日の新曲視唱の練習を、本番だと思って本番通りのながれで歌うこと!
そのうえで、絶対に止まらず歌い続けるクセをつけること。
・ 予見は試験と同じ1分半で!
・ 本番の試験通り、リズム課題もセットでやろう。
・ 必ず、主和音を弾いてから歌い始める。
・ 審査員に見えるように拍子(テンポ)を手でたたきながら歌う。
・ 自分でとり始めたテンポを死守し、まずは止まらないことだけを考えて、歌いきる。
・ 歌いきったら、間違えたところを分解して練習、修正する。
止まらずに歌うということは、もう半分は「慣れ」です。
練習でできないことは、本番ではもっとできません。
え~?でも、練習ではもっと正確に歌う方が大事なんじゃないんですか?
もちろん、正確に歌うことは大事です。
ですが、新曲視唱の試験では割り切って「止まらずに歌いきる」力を試されている試験だと思って、歌いきりましょう。
そして、一度歌い切ってから、正確に歌うという修正作業を行いましょう。
せっかく練習するなら、本番を想定して毎日本番通りにテストすることで、自分の実力が図れます。
自分でできる!新曲視唱の強化練習
一度、試験と同じよう止まらずに歌い切ってから、どこが出来なかったのか分析します。
この時注意してほしいのが、ピアノですぐ弾いて確認…ということはしないでください。
分析方法は
① 歌えなかったと思うところにしるしをつける。
② 歌えなかった原因を考える。
③ 原因と思われる部分を、分解して練習してみる。
間違えた理由・歌えなかった理由は何なのか、考えましょう。
① 音が分からなくなった。
② リズムが分からなくなった/リズムを間違えた。
③ 自分の設定したテンポが速かった/遅かった。
④ 音名(ドレミ)が言えなかった。
理由を考えれば、分解して練習すべきことが分かるね!
①音が分からなくなった→ ピアノを弾きながらとれなかった音程をさらえばいいです。
②リズムを間違えた→ まずリズムがどうなっているかの確認をして、リズムだけ打ってみる。
分解すると、自分の苦手な部分が強化できるんだね!
歌いきってみて、どこが間違ったか分からない人は、録音するのがおすすめ!
できていると思っても音程が違ったりリズムが甘かったりするところを客観的に見れるよ!
このように、まず一回歌ってみて、なぜできなかったかを考えるという作業を毎日繰り返すのです。
出来なかった部分リズムだけを確認し、できるようになったら
次はそのリズムに音程をつけて歌って…と、要素を足し算していって楽曲の本来の姿になるまで繰り返します。
この練習方法を何日か繰り返すと、自分の弱点が見えてきます。
自分の弱点がリズムで、いつもリズムが原因で止まらずに歌えないのであれば、
ひたすらリズムだけを抜き取って叩きまくる強化練習をしましょう。
一回一回の練習で間違えた原因をしっかり考えると、自分の苦手を補う強化練習方が見えてきます。
また、分解して練習できるようになれば、はじめての楽譜を見たとき、自分が引っかかりそうな部分や、難しい部分が分かってきます。
それじゃあ、予見の効率が上がりそうだね!
そうなんです!
予見の効率が上がると、限りなく最初に歌った段階で止まらずに歌えるところに近づくのです。
間違えた原因が解消されたら、曲全体を通して歌って終わりましょう。
まとめ
・ 毎日一題ずつでいいから、本番を想定して止まらずに歌いきる。
・ 本番と同じ予見時間1分半で予見する。
・ 間違えた原因を考える(録音を聴きなおす)。
・ 原因を抜き取って練習し解決する。
・ 曲全体を一回通して歌う。
練習でやっていないことは、絶対に本番ではできませんから、是非「止まらずに歌いきる」ということをやってみてください(^▽^)/
この練習の際に、本番同様新曲視唱とリズム課題をセットで練習するようにしておきましょう。
どんな教材を使えばいいのか困っている方にお勧めなのが、こちらの教材です。
リズム課題と新曲視唱課題が一冊にまとめてあり、なおかつ段階を踏んで難易度が上がっていくため、初心者にも安心して取り組んでいけます。
同じシリーズで、「応用ソルフェージュ」がありますが、こちらにはリズム課題がついてきません。また、藝大声楽科の新曲視唱なら、基礎ソルフェージュのみで充分ですが、数をこなしたい方は応用ソルフェージュのほうもどうぞ。